物書堂がiOS端末向け統合辞書アプリ「辞書 by 物書堂」をリリースした。「辞書 by 物書堂」は、これまでに物書堂がリリースしてきた国語・英語・フランス語などの各種辞書を統合し、串刺し検索も可能になった統合辞書アプリ。
これまでの単体版アプリと同様にパターン検索ができるほか、新たにブックマーク機能に「フォルダ」機能を搭載。
検索機能では検索頻度を自動記録して繰り返し引いた単語が一目で確認できるようになった。
Appleの統合要請から開発されたアプリ
今回の統合版アプリはAppleが同じようなアプリを複数App Storeに載せるのではなく、統合アプリからアプリ内課金で購入できるようにするようディベロッパーに求めたことから開発が始まったものだ。
同じく辞書アプリを多数リリースしているロゴヴィスタ社も統合アプリのリリースを予定している。
購入済み辞書は無料で移行可能
『ウィズダム英和・和英辞典』や『大辞林』など多数の辞書アプリをリリースしてきた物書堂。僕も複数のアプリを利用している。
これまでにリリースされた単体版アプリを使用しているユーザーは、最新版にアップデートすることで「辞書 by 物書堂」に無料で移行することができる。
「辞書 by 物書堂」への移行手順
まず「ウィズダム2」などの単体版アプリをAppStoreからアップデートし、「辞書 by 物書堂」をインストールする。
単体版アプリが最新版になっていれば、「辞書 by 物書堂」の「物書堂ストア」を開くと移行可能なコンテンツが表示される。
次に、単体版アプリを起動すると表示される「統合版アプリへの移行のお願い」をタップ。(閉じてしまった場合は「その他」メニューから「統合版アプリへの移行のお願い」をタップ)
「統合版アプリへの移行のお願い」の下部にある「”辞書 by 物書堂”に移行する」をタップして完了。それぞれの単体版アプリから検索履歴やブックマークが移行できているのが嬉しい。
僕の持っているアプリを全て移行したら以下のようになった。『表現のためのロイヤル英文法』は現時点では移行できない模様。今後のアップデートで可能になるのだろうか。
串刺し検索が便利:電子辞書が不要になるかも
iOS版辞書アプリを使っていて不満だったのが、それぞれの辞書アプリに飛ばないと検索できなかったという点。これが、今回の「辞書 by 物書堂」のリリースによって解消された。
僕はiOS版アプリを多数購入しながらもCASIOのEX-word(DATAPLUS9)の翻訳・プロフェッショナル向け最上位モデル(XD-SR20000)を常に携帯している。
それはどうしてかというと、モバイル端末では電子辞書でしか串刺し検索ができなかったからだ。串刺し検索は電子辞書かロゴヴィスタのWindows用・macOS用のアプリでしかできなかった。それが解消されたのだから、もしかしたら今後CASIOの電子辞書を持ち歩く頻度は減るかもしれない。
価格面では電子辞書に軍配が上がる
ただ、アプリが統合されたとはいってもApp内課金で購入するとそれなりのお値段になるので、CASIOやSHARPの電子辞書を買った方がお得という面は否めない。
英語を生業としているひとであれば、以前はセイコーインスツールが優勢だったが撤退してしまったのでCASIOの最上位モデル一択だろう。
CASIOの翻訳・プロフェッショナル用最上位モデルのいいところは、大英和・大和英や専門系辞書だけでなく学習者用の辞書も搭載されているというところ。自分の勉強や研究のためには専門系辞書を使いつつ、授業用のハンドアウトを作るときには学習者にあった例文の載っている学習者用辞書を使う。両方搭載しているのはこのシリーズだけ。
個人的にはCASIOのカラー液晶になってからのUIがあまり好きではなく、どちらかというとSHARPのUIのほうが好きなんだけど、残念ながらSHARPは高校生用と社会人用しか出していない。
SHARPが翻訳・プロフェッショナル用の電子辞書をリリースしたらCASIOが負けるんじゃないかと思うくらいだ。もちろん人によって好みが分かれるので何とも言えないが。
ロゴヴィスタのアプリ統合にも期待
物書堂のiOS向け辞書アプリのUIはとても直感的でわかりやすい。今回の統合で串刺し検索ができるようになったので、益々使用頻度が増えることだろう。
Windows・macOS向け辞書アプリの串刺し検索に定評のあるロゴヴィスタも現在iOS版辞書アプリの統合に向けて動いている。こちらもどのようなアプリになるのか非常に楽しみである。
リンク
- 辞書 by 物書堂
- 一部iOSアプリの販売終了および今後のコンテナアプリ化につきまして(LogoVista)