日本経済新聞電子版に今日(2018年5月18日)掲載された収益化ビジネスの悪質業者に関するニュース。「YouTube」や「Instagram」を使えば簡単に稼げると謳って情報商材を売りつける業者に騙され、手引き書や動画編集ツールなど累計30万円を支払ったが動画の再生回数が伸びず稼げなかったそうだ。
「10日間で25本程度の動画を投稿したが計300回しか視聴されなかった」とのこと。何ともお気の毒だ。
実際にユーチューバーやカリスマブロガーとして成功しているひとはどうやっているのだろうか。以下、私見を述べたい。
「誰でも簡単にできる」と「収益化できる」は別の話
インターネットを使った副業は確かに誰でも簡単に参入できるようになった。一時期はコピペサイトでもそれなりにアクセスを集められたかもしれないが、検索エンジンが検索結果の質を向上する努力を重ねた結果、今では良質なコンテンツでなければアクセスを稼ぐことが困難になってきている。
ブロガーやユーチューバーはストリートミュージシャンと同じ
まず、記事を書いたところでアクセスがなければ広告収入は得られない。この業界は完全に成果報酬なので、時給換算するとコンビニや塾講師をやったほうが圧倒的に稼げる。多くのひとにとっては、仕事した時間だけ報酬が得られる仕事のほうが安定的に稼げるだろう。
ブロガーやユーチューバーというのは、誰が読んでくれるかわからない記事を書いてアップロードし続けなくてはいけない。誰が聴いてくれるかもわからないのに路上で演奏しつづけて、あわよくば「おひねり」をもらうストリートミュージシャンと同じようなものだ。
クリック報酬は「おひねり」、成果報酬は「物品販売」
インターネットという仮想空間の路上で、誰が聴いてくれるかわからない歌を歌い続ける。ブロガーやユーチューバーはそういう存在だ。
誰かが立ち止まって聴いてくれればアクセス数に応じた広告収入が、商品に興味を持って手に取ってくれればクリック報酬が、手に取った商品を実際に購入してくれれば成果報酬が得られる。
ストリートミュージシャンが路上で歌い続けたからといって客を集められなければ「おひねり」も貰えないし、客がその歌を気に入ってくれなければ(自主制作)音源も売れない。それと全く同じ構図だ。
YouTubeなどの動画やブログなどはストリートミュージシャンが路上で歌うようなもの。そう考えると、客を集められなければ無収入あるいは赤字ということも納得できるだろう。
無収入覚悟で記事や動画を制作し続ける覚悟があるか
無収入覚悟で記事や動画を量産する覚悟。ネットで副業をしたいというひとにはそれが必要だ。ストリートミュージシャンが路上で歌うために一生懸命練習を積み重ねているように、読まれる記事を書くためには地道な努力が不可欠。そのように思う。
「副業」ではなく「趣味」と捉えると楽になる
僕は副業としてではなく、あくまでも自分の趣味としてブログ記事を書いている。英語を教える仕事や研究が僕のライフワークであって、ブログを書くというのはあくまでも息抜きのためでしかない。
いろいろなことを調べることが好きなので、私生活でも周りの人に「これいいよ」と薦めたり、いろいろと訊かれることも多い。このブログもその延長線上にあって、自分で「こんな記事があったらいいな」というものを書いているだけ。完全に趣味なのだ。
趣味として書いているとはいえ、自分の気に入らない広告を載せられる可能性のある無料ブログサービスは嫌で、ただサーバー(エックスサーバー )やドメイン(お名前.com )を維持するには維持費が必要。そういうわけで維持費くらい稼げれば十分だと思っている。あとは全ておまけだ。そう考えれば、怪しげな情報商材に手を出すこともないだろう。
「副業」あるいは「本業」にしたいなら地道に努力を
僕のように趣味としてではなく、本気で副業にしたい、あるいは本業にしてフリーランスでいきたいとうひともいるだろう。そういう人はかなりの覚悟と勉強が必要だ。
会社という組織に所属すると自分の時間を切り売りしているように思えるかもしれないが、面倒な税務処理を肩代わりしてくれるし社会保険もあるし、新しい事業に手を出すときも代わりに借金を背負ってくれる。会社を維持するために一定の水準の「中抜き」が行われるのは当然のことと言える。
副業ビジネスやフリーランスというのは、こういった面倒事やリスクを一手に自分で引き受けなくてはいけない。その覚悟があるだろうか。
まとめ
稼いでいるカリスマブロガーやユーチューバーは地道な努力を重ね続けて残った一握りの人々であって、ネット副業で「誰でも簡単に稼げる」などということはない。
僕のように趣味で運営するのであればサーバーとドメインを維持する最低限の資金だけ稼げればいいだろうし、「はてなブログ」や「アメーバブログ」、「FC2ブログ」などの無料ブログサービスを使えば面倒なメンテナンス作業もいらない。僕は趣味の範囲内で軽くお小遣い程度稼ぐくらいがちょうどいいと思っている。
本気で副業や本業としてブロガーやユーチューバーになりたいのであれば、それこそ成功した人がそうであったように、地道な努力を積み重ねる必要がある。「簡単に稼げる」などという甘い言葉に騙されてはいけない。勉強を重ねて良質なコンテンツを提供し続ける覚悟のあるひとだけが、そういった「一握り」の中に入れるのではないだろうか。
参考リンク
- 「 YouTubeやインスタ、「簡単に稼げる」にご用心」(日本経済新聞電子版)