PFUの横浜本社(横浜市西区)で行われた「ScanSnap iX1500」の体験会レポート第2弾。第1回は「PFUはスゴイ会社だった」と題してショールームの見学ツアーの模様をお届けした。今回は本編の「ScanSnap iX1500体験会」「ScanSnapプレミアムアンバサダー講演会」の様子をお届けしたい。
- 前編:PFUショールーム見学ツアー:PFUはスゴイ会社だった
- 中編:「ScanSnap iX1500 体験会」 &ScanSnapプレミアムアンバサダー講演会
- 後編:「ScanSnap iX1500」タッチ&トライ・座談会
PFUによる「ScanSnap iX1500」紹介
PFUが推すScanSnapの最新モデル「iX1500」のポイントは以下の3点。
- やりたいことをワンタッチ! 簡単操作のタッチパネルを搭載
- 整理・活用をスマートにアシストする全く新しいソフトウェア「ScanSnap Home」
- 洗練されたデザインと、ストレスフリー設計
「ScanSnapプレミアムアンバサダー講演会」(1):文具王・高畑正幸さん
まず登壇したのは、テレビ東京系で放映された「TVチャンピオン 全国文具通選手権」で3連覇を果たし、「文具王」の異名を持つ高畑正幸(たかばたけ・まさゆき)さん(@bungu_o)。
文房具を集めるがあまり部屋が手狭になり、ScanSnapを使って書類の電子化に力を入れているそうだ。「ScanSnap iX1500」導入前にも「ScanSnap」が4台。その他のものを含めるとスキャナだけで約6台が稼働中という蒐集家だ。文房具のパンフレットなどを電子化した結果こうなったという。
「言ってはいけない ScanSnap iX1500」
そんな高畑さんが語るのテーマは、「言ってはいけない ScanSnap iX1500」。前モデル「iX 500」は「かわいくなくない?」と切り出し、「iX 1500」はインテリアとの調和が取れる点を強調する。黒いと目立つから置きたくないが、白いと目立たないから買ってもいいという意見もあるそうだ。
そんなにスキャンしてあとで見るの?
スキャンした書類画像が閲覧される頻度は非常に少ないという高畑さん。5TBの外付けハードディスクと1TBのSSDを持ち運び、20万枚近い画像が入っているそうだ。ただ、10年に1度見る書類も36,500枚持っていれば1日10枚見る計算になると主張する。
スキャンすればとりあえず部屋から紙が消え、「捨てる」「捨てない」「考え中」という箱を作って「考え中」に大量に入るようなひとでも捨てるか捨てないかを判断しなくていいという点を強調していた。「考え中」の時間を使ってScanSnapで書類をスキャンすることで、その他のモノの整理に集中できる。
簡単「ワンプッシュ」スキャン
ワンプッシュを売りにしてきたScanSnap。本体はワンプッシュだが、PCに取り込むと色々なセレクタが出てきてワンプッシュじゃないじゃないかという話もあった。「ScanSnapクラウド」にアップロードする分にはワンプッシュなのだが、「iX500」までは実際は複数の操作をしなければいけなかった。それに反して、タッチパネルを搭載した「iX1500」はプロファイルを選んで2プッシュ。PCレスでタグ付けができるのが大きく進化した。
「道具は一番楽なのがいい」
このくらいのことならほかのスキャナでもできるのでは?という仮想の問を立てた高畑さん。確かにそうだ。他社のドキュメントスキャナや複合機でも同様のことはできる。ただPFUは前編で触れたとおり業務用スキャナで培った技術を応用してScanSnapを作っている。紙詰まりしづらく、ストレスが少ない。
加えて、人間というのは面倒くさがりだという高畑さん。買う前に考えているよりも実際に運用してみると、あるラインを超えると使わなくなると面倒くさがって使わなくなってしまう。身体に良いからと、いいジューサーを買ったとしても、掃除が面倒だからと使わなくなる。
「自分は、自分が思っているよりほんのちょっとだけズボラです」と高畑さん。
だからこそ、道具は一番楽なのがいいと熱弁する
高畑さんの注目する「iX1500」新機能
- 大きな判型と併用できる名刺・レシート用ガイド
- 紙を入れると自動で電源オン
- 「手差しスキャン」モードで「A3キャリアシート」が不要に
今までの「ScanSnap」はA4までの判型にしか対応しておらず、それよりも大きな判型の紙をスキャンするには(別売の)「A3キャリアシート」が必要だった。それが「iX1500」では「手差しスキャン」モードを使うと巻き戻しローラーを停止してページ数があるものでもスキャンできるようになった。宅配便の「送り状」や預金通帳のような厚みのあるものにも対応したので確定申告でも安心だ。
信用ならない親切は手間が減らない:最初から自分で選べ
今までのモデルでも利用できた「ScanSnapクラウド」。クラウド上に送ると「書類」「名刺」「写真」「レシート」に自動分類してくれるサービスだ。指定したクラウドにアップロードしてくれるはずなのだが、ちゃんとできたか高畑さんが2週間以内に確認すると、特にレシート関係のものが全部領収書なのに書類に分類されたりするそう。領収書はフォーマットがまちまちで、機械には判断できない。
今までは全部おまかせかPCで決めて指定するかしか選べなかったが、「iX1500」ではタッチパネル上で最初から自分で選べる。この方法なら絶対に間違えないので、自分でプロファイルを設定しておけば、クラウドに上げるもの、Evernoteにアップロードするもの、PC上に保存するものなどを最初から分類しておくことができるようになった。OCRの文字検索を併用すれば、(OCRが万能でないにしても)キーワード検索で見つかるというのも大きい。
「親父通信」&「年賀状2019」
Evernoteの特定のフォルダに入れたいとか、ある特定のフォルダに入れたいとかいうのが可能になった「iX1500」。高畑さんの御尊父は定期的に葉書を送ってこられるそうだが、それ専用のプロファイルも用意しているとか。年賀状専用のボタンを用意するなど用途別にプロファイルできるというのがメリットだそうだ。
自分が使う道具を使いやすいようにセッティングしよう
高畑さんは、自分が使う道具をいかに楽にセッティングしておくか、スキャンしたあとの手間を先にやっておくかということを強調されていた。それが整理整頓の肝だという。家族専用ボタンを用意して、それぞれの専用ボタンでそれぞれのコンピュータに自動的にデータを送ることができてプライバシーに配慮できるし、実家に自分に送る用のボタンを作ると、親御さんがそのボタンを押してスキャンすることでFAXのように使うことも可能だそうだ。実家に届いた書類を郵便で転送してもらう手間が省けるので、この使い方はプッシュしていったらいいんじゃないだろうか。
「ScanSnapプレミアムアンバサダー講演会」(2):木村聡子さん
続いて登壇したのは歌手・声優・ディレクターなどとして活躍する木村聡子さん(@satokokimura)。初代ScanSnapプレミアムアンバサダーだ。小学生の娘さんを持つママの視点から「ScanSnap iX1500」を語ってくれた。
幼児教育・「お受験」の世界
木村さんによると、お受験の世界では30ページ1,000円のドリル12冊セットをまずは3周するのが常識なのだとか。30ページのドリル100セットを3周するように塾から言われることもあるという。…「お受験」の世界、怖い。
学校ごとに受験時の筆記用具が異なり、筆記用具の種類や色、答え方を含めた、いわゆる「指示行動」が設問に含まれるそうで、志望校に応じて紙と筆記用具をセットとして「解答すること」それ自体を反復練習するのが慣わしだとか。やっぱり、「お受験」の世界、怖い。
お受験対策としてのScanSnap
そんな「お受験」のために木村さんが行ったScanSnapの活用法は以下の通り。
- 問題集は設問集も含め購入、スキャンしてPDF化しクラウドにアップロード
- 設問集はクラウドからタブレットで表示させて親が読み上げる
- 解答用紙は進捗に合わせてプリントアウト
コンビニのセルフコピー機でやるひともいるなか(!)、木村さんはこの方法で、木村さんの娘さんは1年と2ヶ月の間でなんと(塾を除く家庭学習だけで)7,200枚もの問題を学習。これでも平均的(寧ろ少ない方)だというのだから、本当にお受験は(ry
最新モデルの「ScanSnap iX1500」ではB4問題集もA3キャリアシートなしで読み込めるようになったので、自炊できる参考書も増えたようだ。
自作参考書や願書作成
OCR機能で文字認識したファイルから抜き出して自作の参考書を作成したり、願書を等倍でPDF化したうえでPC上で作成・添削をトレース台で清書する作業を繰り返したのだとか。中高大では電子出願が一般化した現代でも、小学校受験は親の手書きなんだそう。この21世紀に時代遅れじゃないかと目が点になった。
小学校教育とScanSnap、そして電子ペーパー
小学校に上がった娘さんは140ページ700円の問題集を解いているそうで、繰り返し学習するにしても2冊買う方が安いという。筆記用具も鉛筆だけで済むから楽になるとはいえ、木村さんは自炊を続けている。
ここで登場するのがSONYや富士通から発売されている電子ペーパー。木村さんは富士通製のものを利用しているそう。
タブレットなどと異なりインターネット接続ができない電子ペーパーは子供が学習に向かうために逃げ道となるあらゆるファクターを取り除いてくれる。何と言っても場所も取らないし、前日にやったページから開けるし、目に優しいし、学習内容に集中しやすい。そういった点をメリットとして挙げられていた。
※ 富士通公式直販サイトWEB MARTで販売されている富士通の電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」は執筆時点ではWindows 10のみサポート。Macユーザーは現状SONY製のデジタルペーパー(ソニーストアなどで販売中)を使うほかないようだ。
自炊 vs. 電子書籍
木村さんは自炊(電子化)でもScanSnapを活用しているそう。重たい雑誌を持ち運ぶ必要はないし、暗い場所でもよめるし人目を気にせずに読める。
電子書籍にはファミリー共有などがついているが、(教育上よくない、或いは子供に見せたくない親の趣味の)「しかるべき本のみ」に絞って共有できる「ことがメリットなのだそうだ。
書籍の自炊といえばAdobeのPDFフォーマットを使うのが通例だが、木村さんは書類はPDFにしても書籍は画像形式(JPEG)で保存するのだという。JPEGファイルを書籍ごとにフォルダに入れてZIPファイルに圧縮し、iPadでは「i文庫HD」、iPhoneでは「bReader」で開いているとか。
PDFでなくJPEGファイルのフォルダをZIP圧縮する理由は、モノクロとカラーの混在する書籍で機械が誤った判断をするのを防ぐとか、複数ページを巻き込んでしまった時にどこまでやったか把握できるとか、「i文庫HD」「bReader」といったアプリが高機能の点を挙げていた。
なかでも木村さんがプッシュする「bReader」は、スキャンしたJPEG画像を文字単位で分解して表示させるiPhoneアプリ。ePub形式の電子書籍と同じような感覚で読めるそうだ。JPEG画像を文字単位で分解してくれるので、文字サイズの拡大や縮小をするとレイアウトを変えてくれる。二段組みにも対応しているそうで、OCRをかけたPDFの欠点を補ういいアプリだと僕も思う。
「ScanSnap」と「bReader」を使用した自炊電子書籍の作り方については、ご本人がブログにまとめておられるのでそちらを参照されたい。
木村さんの使っているのはディスクカッター
自炊で一番面倒なのが裁断。教員の仕事をしていたときによく使った。よくある裁断機は力が必要だったりするけど、木村さんが使うのはカール事務機のディスクカッター(最大40枚)だという。このタイプは力がいらないので、体力に自信のないひとでも安心だ。
総括: プレミアムアンバサダーの活用法は非常に勉強になる
今回は「ScanSnap iX1500 体験会」 のなかからPFUによるプロモーションとScanSnapプレミアムアンバサダー講演会を見てきた。
- 「道具は一番楽なのがいい」(文具王・高畑正幸さん)
- 自炊はPDFでなくJPEG+ZIP圧縮+「bReader」(木村聡子さん)
「i文庫HD」は青空文庫を見るのにしか使ってこなかったし、「bReader」に関しては本当にノーチェックだったので非常に勉強になった。。
高畑さんがご実家にScanSnapを置いて、ご自身のクラウドフォルダに転送するプロファイルを用意しているというのも目から鱗だった。実家に(間違って)届いた書類は、郵便で転送してもらうか、カメラで撮影して画像形式で送ってもらっていたので、この方法は真似てみようと思う。
電子ペーパーについては、富士通製のものはWindows 10のみ対応なので、MacユーザーはSONY一択になってしまう。どちらも大差はないのだれども。
長くなったので、「ScanSnap iX1500 体験会」 の本編「タッチ&トライ」については次の記事で。